大判例

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東京高等裁判所 昭和39年(ツ)14号 判決

原審は、右諸事実に基づいて、実体法上、上告人が本件土地についての登記権利者であり、被上告人等がその登記義務者であることを認めながら、被上告人等は登記簿上の所有名義を有せず、登記申請手続における登記義務者に該当しないから、登記申請をなすべき義務を負担しないものとして、本件土地につき所有権移転登記手続を求める上告人の請求を排斥したものである。

然しながら、土地の売買において買主が取得する所有権移転登記の請求権は、売主に対しその登記手続に協力すべきことを請求し得る契約上の権利であつて、売主が現にその土地について登記簿上の所有名義を有しないとしても、このような事実は売主の協力義務の履行を法律上不能ならしめるものではないから、買主はこれによつて登記請求権を喪失するものではなく、その履行を訴求する利益を有するものといわなければならない。

不動産登記法第二六条は、登記の申請は登記権利者と登記義務者が共同してなすべき旨を規定し、同法第四九条第六号において登記申請書に掲げる登記義務者の表示が登記簿と符合しないときは、登記官吏は申請を却下すべきものとしているのであるから、登記の申請を現実になし得る適格ある当事者としての登記義務者は、登記すべき事項に関して登記簿上具体的に権利の帰属者として表示された者であることを要することはもちろんであつて、被上告人等が、現にこのような登記の申請適格を有しないことは明らかであるが、このことから直ちに、被上告人等が実体上も登記義務を負担しないものということはできない。被上告人等挙示の最高裁判所判決(昭和二六年(オ)第一〇七号、昭和二九年八月二十日第二小法廷判決)は、買受不動産の所有者が、単に名義上所有権取得の登記を受けたに過ぎない者に対し、その者が登記名義を他に移転してしまつた後、所有権移転登記を請求する場合に関するものであつて本件に適切でない。

(村松 江尻 菅本)

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